土地が狭い・理解のない建築会社・狭隘道路
いくらでもお金を使えて、いくらでも広い土地があって、というような恵まれた条件で家を建てる人はいません。何らかの問題や障害があるもの。そんな事例を載せました。
土地が狭い
今まで手掛けた住宅の中で一番狭い敷地に建てたのは高校の後輩の家でした。
「柏倉さん、俺、家を建てようと思ってるんすけど」と当時まだ 27 歳だった彼から電話をもらった私は、「ああそうなの」と返事はしましたが、内心(土地代を含めると 20 代じゃ家は無理だよなあ)と思っていました。
「土地はこれから探すの?」
「いやあ、土地はあるんです。」
「!?」
「昔住んでいた家が、今貸家になってるんでそこを建替えて建てようと思って。」
「わかった!じゃ、その場所おしえてくれ!見に行ってくるから!」
教えてもらって見に行ってびっくり。北東の角地だったのでいくらか広くは見えましたが、ほとんど駐車場にしかならないのではという感じの狭さ。 35 坪の土地でした。
泉区の旭丘堤という住宅地でしたから、容積率(土地の面積の何%まで建物の面積がとれるかの割合)は 80 %だったはずです。ということは 28 坪までしか家が建たないぞ!ところが幸運なことに近くを都市計画道路が通ることに決まっていて、敷地の一部の用途地域が変更になっていたのです。これで 40 坪ほどまで延べ床面積を取ることが出来ることがわかりました。
しかし、住宅地の建築制限がかかることに変わりはなく、隣地、道路からは 1 m 離さなければならないため建物幅は 2.5 間しかとれません。道路からも斜線制限がかかります。これらをクリヤするため斜線制限の緩和規定を使い、屋根の高さを押さえつつ天上高を取るため勾配天井を工夫し、なんとか 33 坪の家と 2 台分の駐車場を確保することが出来ました。
理解のない建築会社
家や室内環境が人々の健康に関係があることは最近では常識ですが、14~15 年前はまだあまり一般的ではありませんでした。
八木山にお住まいの N さんが家を建てようと計画したとき、室内の建材(壁、床材、天井材)などに有害物質を含まないもの、骨組も防腐剤や防蟻処理などをしていないものを使おうと思いました。なぜなら、 N さんの子供さんたちがみんなアレルギー体質、アトッピっ子だったからです。
アトピーの親の会などで住宅建材の問題を知っていた N さんは、材料の検討と間取りをいとこの設計士さんに依頼し、工事を頼む建築会社を探していました。いろんなところでこう尋ねたそうです。
「こちらの会社では床下のシロアリの防除はやるんですか?」
シロアリ駆除に使う薬品は農薬の成分とほぼ同じで体にもよくないのです。しかし、すべての会社がこう答えたそうです。
「もちろんです。しっかりやっていますからシロアリはでませんよ。」
「・・・シロアリ防除をしないで家を建てたいんですが。」
「シロアリ防除は住宅金融公庫で義務づけられていますからやらないわけにはいかないんです。」
(ほんとうはそうではなかったのですが、仙台では役所の指導で半ば義務的になっていました)
いろいろ訪ねた N さんは「住まいと健康のゼミナール」に参加したことがきっかけで、薬品を使ったシロアリ防除をしなくともシロアリを寄せ付けないやり方があることを知り、家を完成させることが出来ました。
狭隘道路
敷地が道路に 2 m 以上接していないとその土地には建物が建てられません。建築基準法の規定ですが、この道路幅は 4 m 以上必要です。もし 4 m ないばあいには通常の場合、道路の中心から 2 m のところを道路境界と見なしてその部分を道路として整備することで建築をすることができます。こうすれば家が建つたびに道路幅が 4 m に広がっていくという仕組みです。
ところが、仙台市の場合はこの規定を強化した基準を決めています。自分の敷地だけが後退するのではなく、道路の向かい側の土地も将来は後退するという承諾を、向かいの土地所有者からもらわなくてはならないのです。
二の森の M さんの土地がこれに当てはまりました。しかも、隣接しているご実家には道路に面する部分が 1.6 m しかなく(細長い通路上の部分)、今回の建築を機に、ご実家の敷地も 2 m 道路に接するよう、土地の分割もしたいというご希望でした。
こうなると「土地家屋調査士」の先生の仕事です。近隣の方との立ち会い、測量という仕事がありますから、建築確認申請を出せるまで相当の期間を要します。
こうした準備期間の見込みを誤ると工事着工、ひいては入居の時期も狂ってきてしまうのです。
幸いにも M さんと近隣とのご関係がよかったこともあり、比較的問題もなく土地の確定ができ、スケジュール通りの工事をすることができました。






